イースの手紙
元気かい? 僕は元気だよ。 アクアさんの捻挫は治っただろうか。 君に会ってからもう1ヶ月も経つだね。 一週間前に学園へついたんだけど、 何も変わってなくて少しホッとしたよ。 でももう一度学園に戻ってこようと思ったのも 君に会えたからなんだよね。本当にありがとう。 それじゃ、またね。 追伸:プレオによろしく |
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返事ありがとう。 アクアさんもプレオも元気そうでよかった。 あ、もちろん君も元気で良かった。 まだ体が旅をしていたときのままみたいで 学園生活に慣れないんだ(苦笑)可笑しいよね。 旅に出る前は学園での生活のほうが日常だったのにさ。 それじゃ、ミラもモモグの森の保護頑張ってね。 |
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今日、ココアのお墓参りに行ってきたんだ。 お墓と言ってもぼくが石にココアの名前を刻んだ ものなんだけどね。 ココアと出会った森の景色が見下ろせる丘に作ったんだ。 学園に戻ったときも思ったけど、 ココアのお墓から見える景色を眺めたら 帰ってきたなぁって実感がわいたよ。 それじゃ、またね。 |
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そうそう、大事なことを書くのを忘れてしまったよ。 実は学園を離れていた期間が長かったから 留年することになっちゃんだ。 旅の途中は勉強なんてしてなかったんだから 仕方ないんだけどさ。 毎日、課題と宿題の多さに倒れそうになってるよ(苦笑) まぁ、そのほうがココアのことを思い出さなくて すむんだけどね。 それじゃ、今度こそ本当にまたね。 |
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この間、最後に変なこと書いちゃってごめんよ。 ミラに励まされたおかげでもう一度頑張ろうって 思ったんだ。そうそう逃げだそうとか考えないよ(笑) それに君との手紙がいい息抜きになっているんだ。 だから僕の体調を気遣って手紙を控えるなんて言わない で欲しいな。 プレオのことやモモグの森のことじゃなくても 構わないからさ。 あ、でもミラが暇なときに書いてくれればいいからね。 それじゃ、ミラも身体気をつけてね。手紙待ってるよ。 |
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旅をして良かったなあって今日初めて実感したよ。 相変わらず課題と宿題は多いんだけどさ、 それでも旅をしてたおかげでいろんな薬草を見てきたか ら頭に入りやすいんだ。まだ知らない薬草も多いけど、 やっぱり実際目にして触れたもののほうが 覚えやすいよね。 留年だってわかったときは戸惑いのほうが大きかった けどなんとかなりそうで良かったよ。 というか、ぼくのことばかり書いているけど ミラの調子はどう? 何か変わったことはあったかい? |
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返事ありがとう。元気そうで良かったよ。 でもミラのほうも忙しそうだね。 モモンガを観察するだけだと思っていたけど森の保全も ミラたちの仕事だったんだね。 自然相手の仕事は大変だと思うけどミラも頑張ってね。 ミラの予想通り、新しいクラスメイトたちからは遠巻 きに見られているよ(苦笑) まぁ、そのうちみんなも飽きるだろうから気にしないよ うにはしてるけどね。 その前にぼくもみんなの名前と顔くらいは一致させてお かないとだよね(笑) |
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森にいるモモンガの名前をすべて言えるなんて すごいね。毎日接してるとはいえ、大変なことだと思う よ。 ぼくはやっと新しいクラスメイトの名前と顔が一致して きたよ。そのおかげで友人が一人できたんだ。 シオンっていう子なんだけどさ、気さくでいい子なんだ よ。 あ、幾つかしか変わらないのにいい子はないか(苦笑) 難しい年頃だし、ここだけの秘密にしておいてね(笑) |
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聞いてくれよ、ミラ! すっごく綺麗な子がいたんだ。 噂では聞いていたんだけどあそこまでだとは思ってなか ったんだ! しかも突然向こうから話しかけてきたから ビックリしちゃったよ。 ぼくが旅に出ていたことを誰からか聞いたらしくってね。 そこで見つけた薬草を譲って欲しいっていう話だったん だ。断る理由もないから余ってる薬草を渡してあげたら 満面の笑みでお礼を言われちゃったよ。 でもその子が去って行ったあとの周囲の視線が怖かった んだけどなんでだと思う? |
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やあ、ミラ。 この間の手紙、何かいつもと違って怒ってるような気が したけど嫌なことでもあったのかい? ぼくでよければ話してみてよ。 なんのアドバイスもできないかもしれないけどさ。 誰かに言うだけで楽になることがあるだろう? そうそう話は変わるけどミラはアドノーの町へ行った ことある? そこの薬草店の子にモモグの森のことを教わったんだ。 その子もモモンガを飼っているんだよ。 それじゃ、またね。 |
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最近風邪が流行ってるみたいだけど ミラとアクアさんは大丈夫? ぼくは大丈夫だよ。 いつだったかの手紙で年下の友人、シオンのことを書 いたと思うけど……。彼はグランとも親しいらしいんだ。 あ、グランっていうのは前に書いた綺麗な子のことだよ。 先生の養い子だからってこともあるけど あまり友人がいないらしいから シオンはほっておけなかったのかもしれないね。 ぼくのことも気にかけてくれるような奴だしさ。 それじゃ、またね。 追伸:そうそう忘れてたけどグランは男の子だよ。 ぼくより5歳も年下なのにすごいよね。 |
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この間のこと、謝らなくても大丈夫だよ。 イライラしちゃうときは誰だってあるよ。 ましてや、心配ごとが重なったんだもの。仕方ないさ。 ところでその心配ごとのことだけど……。 森にいるモモンガの怪我はひどいの? 怪我の程度にもよりそうだけど、どこまで人間が手を出 していいのか線引きが難しいよね。 ココアが怪我をしたときも、少し迷ったんだ。 ココア自身の自然治癒力に任せたほうが いいんじゃないかって。でも結局『ハゴソウ』っていう 薬草を使って治療しちゃったんだけどね(苦笑) |
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治療っていえば、以前アドノーの町にある薬草店の子 供がモモンガを飼っているって書いたこと覚えてる? フィット君っていうんだけど、彼の飼ってるモモンガが 怪我しちゃったときに出くわしてさ。そのときちょうど 『ハゴソウ』を持っていたから治療してあげたんだ。 『ハゴソウ』って殺菌作用があるから切り傷とかの消毒 にいいんだよね。ミラも消毒が必要なときは使ってみて。 それじゃ、またね。 モモンガの怪我が早く治ることを願ってるよ。 |
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やあ、ミラ! モモンガの怪我は切り傷だったんだね。 傷つけたばかりなら『ハゴソウ』を患部に塗ってあげる といいと思うよ。 でもすでにカサブタになっているようだったら必要ない よ。あとはモモンガの自然治癒力に任せてあげてね。 といってもこの手紙が届く頃にはその仔の傷も治って いるだろうね。 そういえば、『ハゴソウ』を買いにアルノーの薬草店へ 行ったんだね。フィット君たちは元気だった? あそこの店主さんは信用ができるから、薬草のことでわ からないことがあったら聞いてみるといいよ。 それじゃ、またね。 |
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ミラ、元気かい? ぼくは元気だよ。 モモンガの怪我が治って良かったね。フィット君たち親 子も元気そうで良かったよ。また会いたいな。あ、もち ろんミラにも会いたいと思っているよ。って、なんか文 章にすると照れくさいね。 そうそう話は変わるけど、前にグランに薬草をあげた って書いたこと覚えてる? 彼ってばその薬草を使って 新しい使い方を見いだしたんだよ! すごいよね! ぼくも頑張らないとって思っちゃったよ。 それじゃまた、手紙書くね。 |
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返事が遅くなってごめんよ。 アルフ先生に叱られてしまって…… いや、全面的にぼくが悪いんだけどね。 あぁ、アルフ先生っていうのはぼくの恩師なんだけど、 留年の手続きとか課題提出とかの忙しいさに戻ってきた 報告をすっかり忘れてたんだよ……(苦笑) 言い訳かもしれないけど学園に戻った初日に、アルフ 先生の部屋へ行ったんだ。 でもその時は先生がいなかったんだよ。 まぁ、忘れていた事実は変わらないんだけどさ(苦笑) |
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心配をさせちゃったみたいでごめんね。 ぼくは元気だよ。精神はヘロヘロだけどね(笑) なんでかって? それはね、さっきまでペナルティーと してアルフ先生の部屋を掃除していたからだよ……(泣) こう言ってはなんだけど、先生の部屋は言葉に表せない くらいすごいんだ。あの部屋の掃除はもう二度としたく ないって思ったよ(苦笑) それはそうとアクアさんの風邪はどう? もう治ってるといいんだけど……。 ミラは風邪ひかないように気をつけてね。 |
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やぁ、ミラ。 やっぱり君も風邪をひいてしまったのか……。 治りかけって書いてあったけど、もう治った? ぶり返しには気をつけてね。 今日授業で喉の腫れに効く薬草のことを習ったんだ。 お茶にして飲んでも美味しいらしいんだけど、ぼくは まだ見たことがないんだ。でもミラが住んでいる地域に も自生しているらしいから、フィット君の家で取り扱っ てるかもしれないね。また、あの薬草店に行く機会があ ったら聞いてみるといいよ。 ただ、薬草だからお茶にしても美味しいかはわからない んだけどね。もし試したら、どんな味か教えてくれると 嬉しいな。それじゃ、またね。 |
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ミラ、元気かい? この間は薬草を送ってくれてありがとう。 早速飲んでみたけど、やっぱり独特な味だね。ミラは大 丈夫だって書いていたけどぼくは無理そうだ(苦笑) 最近は授業とレポートの毎日の生活にも慣れてきたよ。 不思議なんだけどね。旅から帰ってきた今のほうが授業の 内容が頭によく入っていくような気がするんだ。 学園でも薬草を自分たちで採取しに行くことはあるから、 机上だけの勉強ではないはずなんだけどそういうのとは 違うのかな? 旅に出たことはまったく後悔してなかったけど、肯定 もできてなかったんだ。でも、最近は旅に出たことは 必然だったんじゃないかって思うようになってきたよ。 そのおかげでミラにも会えたんだしね(笑) |
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ミラ! ぼくはやっぱり医師になりたい。 病や怪我によく効く薬を開発する仕事も魅力的だと思う。 だけどぼくは、苦しんでいる人と間近で接する医師に なって、その人が少しでも早く笑顔を取り戻す手伝いを したいんだ。 ココアのことを受け入れることができずに逃げ出した ぼくには大それた夢かな? でも絶対に叶えてみせるよ。 決意表明ってわけじゃないけど、ミラには一番最初に知 っていて欲しくてさ。それじゃ、またね! |
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ミラ、応援してくれてありがとう。 正直、君にどう思われるか少し不安だったんだ。 だからミラからの返事がとても嬉しかったよ。 しかも『卒業したらうちの村に来て開業してよ』なんて 言葉まで貰ったんだ。絶対に医師になってみせるよ! でも残念ながらミラの希望を叶えるのは難しいかな。 卒業してすぐに一人前になれるわけじゃないんだ。 最短でも5年くらいかな? ベテランの医師の元につい て学ばせてもらうんだ。 ミラの提案を受け入れることができるのはそのあとかな ぁ? |
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ミラ、返事ありがとう。 君に一番に伝えられて、しかもあんな言葉まで貰えるな んてさ。『いつまでも待つわ』なんて、なんだかプロポ ーズみた……あ、いや、なんでもないよ。 えっと、何の話だったっけ?… …あ、そうそう! 誰の師事を仰ぐかだったよね? アルフ先生に頼もうとしているんだけど、どうかな? でもさ、アルフ先生って生徒の嫌がる顔が見たいって 言って課題を増やしたり、部屋が魔窟のように汚れてた りするんだけどすごく人気があるんだ。 だから師事を仰ぎたいって人は多いと思うんだよね。 今度手紙を書く頃には結果がわかってると思うから教え るね。その間ミラは、ぼくがアルフ先生の弟子になれる ことを祈ってて欲しいな。 |
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ミラ!! 君が祈ってくれたおかげで無事、アルフ先 生の師事を仰げるようになったよ。 なんだか夢みたいでまだ全然実感とかわかないんだけど さ。 そうそう、ぼくの他にシオンもアルフ先生の元で学べる ことになったんだ。まさか、彼もアルフ先生にお願いし ているとは思わなかったから驚いたよ。 そういえば、そのシオンの様子が最近おかしいんだよね。 あれだけちょっかいをかけていたグランに声をかけてい ないんだ。もしかして喧嘩でもしたのかな? |
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やぁ、ミラ。君のアドバイスどおり、シオンに話かけ てみたよ。 どうもアルフ先生の弟子に選ばれたのが自分の実力じゃ なくてグランのおかげでなったんだって思ってたみたい。 グラン、覚えてる? 以前話したすごい綺麗な子のこと だよ。彼はアルフ先生の養い子なんだ。 だからシオンも今回の件は、実力じゃなくてグランの力 添えのおかけだと勘違いしちゃったみたいなんだ。 まぁ、ぼくも自分がなんで選ばれたのか不思議でしかた なかったんだけどね。 だってぼくよりも成績優秀者たくさんいたんだよ? だから、聞いてみたんだ。そしたらあの魔窟の部屋の 掃除を逃げ出さずにしたのがぼくら二人だけだったんだ って(笑) まさかあれが審査対象だったなんて、アルフ先生らしい よね。 |
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ミラ、返事が遅れてごめんよ。 アルフ先生の弟子見習い? みたいなものになってしま ったら急に忙しくなってしまったんだ。 とりあえず、ぼくはなんとか元気にやってるよ。 君はどうだい? それじゃ、またね。短い手紙でごめん よ。 追伸:これからアルフ先生の手伝いで往診に行ってくる んだ。初めてのことだから、なんだか緊張するよ。 今度手紙を書くときに感想を書くね。 |
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やっぱりアルフ先生ってすごい人だよ、ミラ! 当たり前なのかもしれないのだけどカルテを 見なくても、顔を見ただけで患者さんのことを 覚えているんだよ! ってそう言えば君も観察してるモモンガの見分けがつく って言ってたね。 あぁ、ぼくの回りはすごい人だらけだ……。 ぼくも頑張って追いつかなくっちゃ! そうそう、アルフ先生のポケットにはいつも飴が 入っているんだよ。てっきり自分で舐めるために入れて あるのかと思ってたんだけど違ったんだ。あれは小さい 子が診察を終えたときのご褒美だったんだよ。 それを指摘したら先生が照れ臭そうに『内緒な』って 言ったんだ。だからミラ、ここだけの話してね(笑) |
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やぁ、ミラ元気かい? ぼくは元気だよ。 君のいう通り、アルフ先生は良い先生なんだ。 まぁ、部屋は汚いけどさ(笑)でも、汚いとは言っても食べ 残しとかじゃないから安心して。 資料や、本がいたるところに積み重なって置いてあるだ けなんだ。 それにしてもあんな乱雑に積み重なっているのに本人は どこに何があるかわかるんだから不思議だよね。 ぼくも本格的に医師として働きだしたらあんな魔窟を 生み出しちゃうんだろうか? ちょっと想像できないけど、もしそんなことになったら 君に片づけを手伝ってもらおうかな。なんてね(笑) |
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前回書いたことに怒ってる? それとも体調を崩してしまったのかい? 返事がこないから心配です。この間書いたことは冗談だ からね。 ミラに掃除を手伝って貰おうなんて考えてないよ。 ミラがあの手紙を読んだせいで気分を悪くしてしまった のならごめんよ。悪気があったわけじゃないんだ。 もし許してくれるなら、また手紙送って欲しいな。 あー、いや、許したくなくてもその理由を書いて送って 欲しいな。直せるようなら頑張って直すからさ。 お願いだよ、ミラ。それじゃ、またね。 手紙待ってます。 |
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あー、ミラごめんよ。 もう前回の手紙は読んでしまったかい? もしまだなら、 そのまま読まずに捨ててくれると嬉しいんだけど ダメかな? まさか、連日続いた雨の影響で郵便が遅れていただけ だったなんて思いもしなかったんだ。 完璧に覚えているわけではないけどすごく女々しい 文章を書いた記憶はあるんだ。 いや、あのときは本当に君に嫌われてしまったのかと 思って不安だったんだよ。でも冷静になって思い返した ときにはもう配達の人に渡したあとだったわけで……。 雨に濡れて文字が読めなかったっていう君からの返事を 期待してるよ(苦笑) |
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やっぱり読んでしまったのか……。 あー、違うんだ。ミラが悪いわけじゃないんだよ。 ただ、ものすごく恥ずかしいってだけで(苦笑) どんな顔をして君に会うか考えるだけで動悸がしてくる よ。でもまさか君に、こんなに早く会えるなんて想像 すらしてなかったよ。 モモンガの分布調べにこっちのほうへ来ると書いてあっ たけど、いつ頃来られそうなんだい? そのときはココアと出会った森を案内するから楽しみに していてよ。 それじゃ、また手紙を書くよ。あ、でも、それはミラ がこちらから帰ってからかな? 道中気をつけて来るんだよ。楽しみに待ってるからね。 |
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