生まれ育った街へ一年ぶりに帰ってきたジョーイは、
喜びで胸がいっぱいだった。
戦争が終わった。戦いに勝利した。
金が入る。家族のもとへ帰れる。
病弱な父と母と幼い妹のために土産物を買い込んだ。
父には薬と好きな葉巻を、母には腰巻と靴下を、妹には赤い赤い絹のリボンを。
だが、そんな自己のささやかな幸福は、無残にも吹き飛ばされてしまった。
金も、薬も葉巻も腰巻も靴下もこの命さえも……。
天罰だ。
天罰なのだ、これは。
自分は人を殺したから。たくさんたくさん殺してしまったから。
もう何一つもとには戻らない。何もないのだ、もう……。
ジョーイは無意識にポケットを弄った。
そこには真新しい深紅のリボンが、
買った時となんら変わりない姿で納められていた。
視線が、いるはずのない愛しい者たちを求めて泳ぐ。
「見つけた……」
白濁する意識のなか己の瞳が捉えたのは、黄色い服を着た愛らしい子供だった。