それは刹那の出来事だった。 * * *
突然の閃光。
眩い光とともに街は消し飛び、爆風に煽られ壁に激突した。
焦土と化した街並みを見てジョーイは思った。
これは天罰なのだ、と。
アシスは荒野と化した街の中を彷徨っていた。
ここが何処なのか、何処をどうしてここまできたのか、今は分からない。
アシスは知らない。この身に何が起こったのかを。
街が一瞬のうちに灰になったわけを。
子供は歩き続ける。
目覚めた時と同じ黄色の寝間着姿のまま素足を晒し、ただ黙々と。
自分が知りたいことは一つだけ。
「パパはどこ? ママはどこ?」
小さな腕に緑の帽子を被ったこびとの人形を抱え込み、道なき道をいく。
目前に迫る瓦礫の中、今にも崩折れそうな壁にもたれ、
1人死を待つ孤独な少年と出逢うその時まで……。