K-systemさんによる写真ACからの写真 一「少し、考えさせてくれませんか?」 ためらいがちに問うと、叔父は快く承諾してくれる。そもそも断ろうと思えばすぐにでも断れるものだった。今は外に出るのも人と接触することも遠慮願いたい、とだけ言えばいい。叔父はきっとそれだけで解ってくれるだろう。思いつつも、すぐに断ることが何故かためらわれた。「じゃあ、とりあえず書類の方は君に預けておくから。具体的な段取りは行く気になったら改めて話すよ」 言い置いて叔父は通話を切る。わたしは受話器を置いて胸元を握り締めると、重い溜め息を吐いた。一つ前を読む 小説の部屋に戻る 次を読むオープニング背景画像: K-factoryさんによる写真ACからの写真